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THE 健康経営

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現在、経済産業省が推進し、特定非営利活動法人健康経営研究会が、その実践をすすめているのが、「健康経営」だ。

コロナ後のこの世の中で、既に人生100年時代の働き方が問われている中、どう生きるかは、重要課題である。

健康経営の定義を見ていこう。「健康経営」とは、「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても大きな効果が期待できる、との基盤に立って、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること」を意味している。

そのコンセプトは、「本来、企業は人を中心として成り立っているものであり、人を資本として考えるマネジメントこそが適切な成果を生み出す」、それゆえに「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても大きな成果が期待できる」というものだ。

健全な企業経営には、心身ともに健康な人材が必要不可欠の要素であり、また、活気ある職場の創出には従業員たちが活躍できる仕組みも必要となる。

どんなにデジタルが進化しても、どんなにAIがヒトを凌駕しても、人材なくして事業は経営できない。同研究会が「健康経営」の必要性をまとめている。

 

1.人口の減少が導く労働生産人口の減少と人材不足の危惧

2.心の健康問題増加は、業務上から起因する体調不良は職場での解決策が求められる

3.定年の延長が要請する健康づくりと体力づくり、体力を維持して経営を継承することが必要となってくる

4.従業員の高齢化がもたらすものは、疾病と災害に対する危惧であり、医療費の増大と労働災害の増加につながる

5.2025年問題とは、いわゆる団塊の世代が75歳に達する現実で中小企業の廃業が増加する

6.人生100年時代というアンチエイジング世代、長寿社会を「災い」としないための社会基盤を構築していく必要性

 

こうした考えは、1980年代にアメリカの経営学と心理学の専門家、ロバート・H・ローゼンが提唱した「ヘルシー・カンパニー」という概念、および1992年の著書「The Healthy Company」で示した内容に基づいていると言われている。

具体的な活動としては、経済産業省による「健康経営銘柄」の選定と公表がある。健康経営銘柄は、従業員の健康管理を経営的な視点で取り組んでいる上場企業を、経済産業省が東京証券取引所と共同で公表しているもの。このことにより、健康経営に取り組む企業が株式市場などにおいて適切に評価される仕組みの整備がなされている。

また、2017年から「健康経営優良法人認定制度」も設けられている。これは健康経営に取り組む企業などの「見える化」を推進するため、上場企業に限らず未上場の企業や医療法人などの法人を「健康経営優良法人」として認定する制度。経済産業省が制度設計を行い、日本健康会議が認定しているものである。

では、企業にとっての健康経営に取組むメリットとは、何であろうか。どうやら次に掲げるようなメリットがあると言われている。

労働生産性の向上

従業員が健康であることが労働生産性に直結することは言うまでもないが、そのためには働きやすい職場環境づくりを頭に置かなければならない。長時間労働や職場のストレスによって従業員が疲弊し、心身が不健康な状態になれば、効率よく業務をこなすことは困難になる。
定番の活動として、先ず挙げなければならないのが「3S」だ。S整理+S整頓+S清掃で、三つの単語の頭文字がSであることから呼ばれている。気持ちのいい職場は、過しやすいこと請け合いだ。「3S」が整ったならば、加えてもう「3S」のS清潔+Sしつけ+S作法まで浸透できれば言うことはない。

プレゼンティズムの解消

従業員が出勤はしているものの健康上の問題で労働に支障を来している状態を「プレゼンティズム」と言う。プレゼンティズムは、周囲の従業員の心理にも影響を与えたり、風邪などを引いている場合は身体に更なる悪影響をもたらしたりする傾向にある。
そもそも残業などによって不調を来すことのない環境を整えること、そして不調があった場合には、すみやかに休息を取り通院などができるような雰囲気や制度を作ることが必要となる。

ワークスタイルとヘルスケア

会社で働くことと健康問題は切っても切り離せない関係にある。例えば、通勤時の歩行時間と高血圧発症リスクの因果関係は歩き方にある。通勤時にしっかりと歩くことは、高血圧を予防する効果があるとされている。職場での長時間のデスクワークやスタンディングワークは糖尿病や心疾患などにつながることが指摘されているし、場合によってはメンタルヘルス不良も引き起こすとされている。
労働時間の弊害とされているのが、長時間労働や短時間睡眠だ。心筋梗塞や脳卒中の発症リスクがあるのと共に肥満につながりやすい点がある。とにかく職場は危険がいっぱいなのである。労働と運動や休息の関係を適切にケアすることは、企業の義務ともいえそうだ。

企業が負担する医療費の削減

従業員が疲弊やストレス、労働環境によって健康を害する割合を軽減することができれば、企業は経費としての医療費を削減できる。社会保障額の負担は「法定福利費=見えない人件費」とも言われるものである。従業員の健康度を上げることは、健康投資とその効果として医療コストを低減することになり利益の増大につながる。

離職率・定着率の改善

職場のメンタルヘルスの問題点は、仕事に向き合う心の問題に集約される。仕事が分からないといった漠然とした不安から始まり、仕事をただこなしている状態から来る適応障害は仕事の面白さを削ぐものとなる。
コミュニケーションが確保されている働きやすい環境は、従業員のメンタルが保たれることで、離職といった行動を抑制する。仕事のやりがいを見出し働く意欲が向上するだけでなく、健康上の理由による退職や休職の割合が縮小するからである。人手不足に悩む企業が増えている現在の状況では、多大なメリットに違いない。

企業のイメージアップ

健康経営が実現されれば、働きやすい企業、ホワイト企業といった企業イメージが定着していく。特に高齢社会の健康は企業が築き上げるイメージを創りあげることで、老若男女に隔たりなく元気な従業員が企業の価値を伝承していくことになる。健康で働きがいのある職場という企業ブランドイメージを作り、地域への貢献をも志向することができる。

採用力の強化

採用活動の活性化、就職希望者の増加というメリットが得られることも見逃せない。就職活動に勤しむ学生等の親の多くが企業選びのポイントとして「従業員の健康や働き方に配慮している」という点を挙げているという経済産業省によるアンケート調査結果もあるくらいだ。生涯を通じた従業員の健康について真剣に取り組んでいる会社かどうかは、今や就職の際の大きな判断ポイントになっている。

健康経営を実現すると様々なメリットを享受できることのようだが、全体的なプランニングに基づく環境作りや長期的、継続的な努力も必要となる。無論、経営者の推進力は必須のものとなり、経営者自らの健康も考慮せねばならない。
そこで、健康経営は従業員の要請に基づき実施していくボトムアップによるものではなく、経営トップや上層部幹部が主導するトップダウンの要素を取り込んで全社的で意識を大にして取り組むことが大切である。そうして初めて「従業員の健康の向上」と「利益の拡大」が両立されるようになるのである。

今まさに人生100年時代に突入した世代の中、人は生きる上での戦略を求められている。それは健康という基盤のもとに、現役のうちに貯蓄率を高める工夫が必須となること、また、より高齢になるまで働く人生設計が必要となる時代になったということに他ならない。

最後まで読んでいただいてありがとうございます。
今後において、「健康経営」に着目した経営計画立案を策定していくのも、企業経営の一つの処方箋といえるのではないでしょうか。税理士法人 K&K Japanと共に、是非とも経営の見える化に取り組んでいただきたいと思います。この機をターニングポイントとしてとらえていきましょう。

※「健康経営」は、特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標である。

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K&K Japan

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